KenkoのSkyExplorer SE-GT102Mは経緯儀のセットで, これはスカイウォッチャーのAZ-Go2と同じもののようです.スタックする前提なら経緯台で十分な気もしますが,やっぱり赤道儀はあこがれますよねぇと思いつつ,PrinterbleみてたらなんとオープンソースでKeen-One EQという赤道儀を公開されている方がいる!ということで早速作ってみることにしました.作成の経緯や設計思想はKenさんのBlogでまとめられていてとても面白かったです.このKeen-One EQはハーモニックギアを3Dプリンタで作っていて, 私は実用的な機器で3Dプリントのギアが作れると思ってもいなかったので目から鱗でした.さらにLukeさんがこのハーモニックギアを改良してギア比をあげたもの”79:1 Harmonic Drive for Keen-One EQ“をPrintableで公開されています.私の技術で作りきれるか,制御しきれるかわかりませんが,動いても動かなくてもおもしろそうです.
Lukeさんの3D printed ハーモニックギア(79:1ギア V5)とモーター側の遊星ギア27:1を使う方針でいきます.LukeさんはステッピングモーターはStepperOnlineからNema 17の27:1のもの買われていますが,今回はAliexpressでHanpsoneからこれを調達しました. オリジナルと寸法が寸法が違うのでLukeさんの追加パーツをさらに寸法修正して対応しました.
まずはLukeさんのデータ(V5)を元にギアを印刷します.KenさんもLukeさんもギア強度の課題をあげておられるので,内側はPETG, 外側は最近マイブームのポリカーボネートを使いました.プリンタはPrusa MK4 でノズル径はLukeさんの指示に従って0.25mmへ変更します.これまたLukeさんの指示に従い事前に寸法合わせを行なって, PCは100.33%でデータを作成. PETGは補正なしです.Infillは30%, 積層厚さは0.12mmとしました.シートはStain Powder-coated Steel Sheetにのり塗布して使用. PCのエクストルーダーの温度は270℃, ベッドは1stレイヤ 100℃, 他は115℃としています(PETGは標準条件).
他のパーツは普通にPETGで印刷.
必要なパーツはオリジナルのKeen-Oneの中の
- BearingHoldA.stl
- BearingHoldB.stl
- MainHousing_v2.stl
- MotorCover.stl -> サイズ変更
- MotorHoldA.stl -> サイズ変更
- MotorHoldB_v2.stl
- OutputPlate.stl
- OutputShaft_v2.stl
をPETGで全部2つづつ.
79:1 Harmonic Drive for Keen-One EQから, 共通のもの2つ, V5から4つを印刷します.これも2つづつ
- 160T_CircularSpline.stl (PCで印刷)
- Flexspline_Bearing.stl (PCで印刷)
- 158T_Flexspline_V5.stl (これはPETGで印刷)
- WaveGenerator_V5.stl (PCで印刷)
- Coupler_V5.stl (PCで印刷)
- AssemblyHelper_V5.stl (PCで印刷)
Extender for Stepperonline geared PG27-Stepperから
- OMC_PG27_Extender.stl(寸法を変更)
(いくつかパースの寸法を変えました.データはどこかでUPします)
ベアリング,コネクタ関連
- 6812ZZ Bearing-60x78x10 2個
- 6807ZZ Bearing-35x47x7 2個
- 17HS4401S-PG X1PCS, Ratio 27-1 2個
- Gx12航空プラグ オスメス 2個づつ
- Gx12ケーブル 2本
- 5mm ボール 88個
ネジ関連(ちょっと自信なし.今度再確認するけど,メモ)
- M3 6mm 4本
- M3 10mm 2本
- M3 12mm 12本
- M3 15mm 12本
- M3 30mm 8本
- M3 ナット 14個
- M4 25mm 12本 (私が20mmから一部変更.だけど微妙?)
- M4 30mm 8本 (Lukeさんがオリジナルから変更)
- M4 35mm 12本
- M4 45mm 8本 (40から修正)
- M4インサートナット 24個
- M4 ナット 40個
- M6 ナット 4個
- M8 薄型(5mm) 4個
クランプも印刷で作りました.精度に影響がでるかは後から検証しましょう.
Polar Fine Adjustment UnitにあるクランプとMaestroさんが作成した“Add Reinforced Edge“を使わせてもらいます.
組み込むとこんな感じ.
微動雲台もPrinterbleで公開されているデータを元に印刷
3脚は水平の回転がしやすいようにK&F Conceptの三脚をamazonで購入.
制御用にはOnstepを使いますが,3Dプリンタ用の制御ボードを流用しています.ステピングモーターの駆動電圧は使っていないPCのアダプタを流用して19Vにしています.電流容量が足りているか,モーターに電流流しっぱなしになっていないか確認するために電流,電圧計をケースに組み込んでいます.
Onstepの設定ファイルはLukeさんの公開されているヘッダファルが参考になると思います.Stepper Stepsは200, Microstepsは16, GR1のギアは26.85(データシートから), GR2は79としています.Onstepの計算シートからSTEPS_PER_DEGREEは18854.66667, STEPS_PER_WORMROTは85920としています.
こんな感じ.望遠鏡はFMA-180 ProとSV165の30mmを繋いでいます.さて,きちんと動かすことができるでしょうか.
改めてKenさん,Lukeさんに感謝申し上げます.
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